コロナになった。推しに会えない。

2021年1月、私は新型コロナウイルスに感染しました。

ここにはコロナに感染して実際に感じた「感染していない人に伝えたいことを」を書き残して置こうと思います。

 

まず簡単にコロナに感染した経緯と私のプロフィールを書いておこうと思います。

私は都内に住んでいる学生です。

アルバイトは販売業でお客さんと密に関わることはなかったし、食事は家族としか取りませんでした。もちろん外出も最小限の買い出しなどに抑え、かなり控えていました。同居の家族にも陽性反応はなく、私の濃厚接触者でした。

それでも、感染するのです。

私が感染したのは東京都内で1日の感染者数が1000人を超えていた頃。結局感染経路は判明しませんでした。

 

喉の痛みからはじまった私のコロナ感染。

喉に異常を感じたもののほかに特に異常はなく、よくひく喉風邪かなーと放置した2日後。

突然味覚が無くなりました。

2020/10にコロナに感染した友人が「コロナは熱が出ない。味がしなくなったらやばい(個人差があります)」と言っていたのを思い出し、とにかく味覚に異常があるかを確かめることに必死でした。

餃子(家にあった1番味の濃い食べ物)を食べても味がせず、病院で検査をしたら抗体・PCR共に陽性。抗体検査は結果が出るまでにおよそ1日時間を要するPCR検査の簡易検査で、精度が落ちる代わりに約30分で検査結果が出る、というものです。抗体検査で陽性の場合は9割以上の確率で陽性。すなわち私は検査したその場で新型コロナウイルスの陽性患者と判断され、自宅療養が始まりました。

主な症状は微熱、倦怠感、そして味覚・嗅覚障害。持病もなく自宅療養で済んだので、おそらく軽症を極めていたんだと思います。

 

しかし療養、完治後も後遺症が残りました。

嗅覚・味覚障害です。

 

感染当初は匂いが一切感じられない無臭障害を発症しました。文字通り匂いや味が一切感じられなくなるのです。味覚障害に効果があると言われる亜鉛サプリメントを飲むようになってからは約1ヶ月でしょっぱい、甘い、苦いがうっすら分かるようになる位まで復活しました。

 

その後状態はなかなか好転せず、4月の頭ころからは無臭障害から、全ての匂いが刺激臭に感じる刺激性異臭症に変わりました。その日の体調や元々の匂いによって刺激臭の程度は変化しますが香水の匂いやハーブの匂いはもちろん、食事の匂いも刺激臭に感じるようになりました。

 

すなわちコロナに感染してから約4ヶ月間、ほぼ全ての味や匂いが正常ではないと感じる、ということです。

 

味覚障害や嗅覚障害は恐らく他の後遺症に比べたらそんなに辛くないです。特段体調が悪い訳では無いし、見た目では分からない。つまり、人に言わなければバレません。

それでも、しんどい。

何を食べても同じような味。唐揚げも味噌汁も漬物も、しょっぱいことしか分からない。それが味噌なのか塩なのかなんなのか、区別がつかない。

水を飲んでもお茶を飲んでもジュースを飲んでも飲んでもみんな同じ。ただの液体。

いい匂いのシャンプーもボディソープも香水もルームフレグランスもなんの匂いもしない。

異臭症がはじまってからは、美味しいご飯を食べても鼻につくような臭いを感じるのでどうしても100%の気持ちで美味しいとは思えない。

いい匂いのものを嗅いでも刺激臭に感じる。

食べることが生き甲斐、部屋をいい匂いのアイテムで満たしている私にとって、かなり辛い後遺症でした。

 

また倦怠感がやや強く、1日外出したり普段行かない場所へ出かけると翌日起きれなかったり、翌朝起きれても昼寝をしないと活動できなかったりするような疲労を感じるようになりました。

 

新型コロナになって何より辛かったことは人に迷惑をかける、ということです。

新型コロナは、感染者よりも濃厚接触者の方が外出自粛期間が長いです。

なぜなら感染者の自宅療養完了後も濃厚接触者は2週間の自宅待機を求められるから。

つまり感染者は感染から10日程度で療養期間が終了する一方、濃厚接触者は感染者の感染期間に加えてさらに2週間、外出ができません。感染者は外で元気に生活しているのに、です。

私の場合は幸い学校は冬休み期間で学校には一切迷惑をかけることはありませんでしたが、同居する母、母の職場、そして高校生の妹に多大なる迷惑をかけることになりました。

 

感染中は家の中で自分の部屋に隔離されているので外の世界と関わることもなく、元々インドア派の私は味覚障害以外に特に不便を感じることなく過ごしていました。

しかし療養期間がすぎ私が元気に生活するようになってからの2週間、なかなか家族と顔に合わせることができませんでした。申し訳なさゆえに、合わせる顔がなかった、という方が適切かもしれません。

とにかく自分の周りにはなんの影響もなかったのに、家族と家族の周りには迷惑をかけてしまったという意識と、自分はもう元気なのにまだ家族を家に縛り付けなければならないという申し訳なさに押しつぶされそうでした。

 

感染したことがない人に伝えたいこと。それは

・誰にでも感染の可能性はあること

・重度の疾患がなくても後遺症が残ること

・コロナとは身体より心が蝕まれる病気であること

の3つです。

 

日本全国でこれだけ感染が広がっている以上、あなたの周りにもおそらく1人は感染経験者がいます。ですがその人があなたに感染者である、または感染者経験者であることを伝えているとは限りません。事実私もコロナに感染したということは親しいごく一部の友人にしか伝えておらず、学校の友人は1人も知りません。濃厚接触者でなければ伝える義務はないからです。

コロナの感染は、想像以上に辛いです。

学生という社会的責任のほぼない立場で、東京という噂話の広がらない他人に無関心な街で、家族以外の濃厚接触者を出さず、重度の疾患がない私でもしんどかった。おそらくもっともっと辛い思いをされている方がたくさんいます。

 

あなたが、そうなるかもしれない。

これを読んでくださっているあなたに、私のような辛い思いを、私以上に辛い思いを、して欲しくない。

 

といっても、現在の医学や生活では感染を完全に防ぐことができない、というのが残念ながら現状です。

 

どうか、手を洗い、うがいをし、たくさん水を飲んでください。思いつく限りの感染対策をしてください。

 

何度でも言います。コロナは辛い。

 

最後までお読みいただきありがとございました。

 

末筆ではございますが私の新型コロナ感染におきましてご尽力いただきました医療従事者の皆様、保健所の皆様に心よりお詫びと感謝申し上げるとともに、全ての医療従事者の皆様に重ねて感謝申し上げます。

 

2021.4.26